京都工芸繊維大学「デザイン・建築学課程」の実技試験対策

 

初めまして。編集の堀井です。
私は京都工芸繊維大学の「デザイン・建築学課程」という学科でデザインを学んでいます。
今回、デザイン・建築学課程の入試、中でも特に受験生の多くが頭を悩ませているであろう「実技試験」についてのお話をしようと思います。

 

※この記事内容は筆者個人の経験と考察のお話になりますので、必ずしもここに書かれていることが正しいとは限りません。あくまで参考程度に捉えていただけますようお願い致します。

 

 

京都工芸繊維大学(以下、工繊大)は理系大学であり、情報工学、機械工学、応用生物学、物質工学など、理系の課程の中にデザイン・建築学課程があるという少し特殊な大学です。つまり、デザイン・建築学課程の入試は、理系の国立大に合格するための勉強をしつつ、実技試験の対策までしなければならない非常に困難な入試なのです。では、ただでさえ難しい国立理系大の受験勉強をしながら、どのように実技試験の対策をしていけばよいのでしょうか。

まずは過去に出題された問題をいくつか見てみましょう。

 

『「機械」と「草花」を自由に構成し,写実的に描きなさい。』(28年度)

『身の回りにあるものを複数選び,それらを組み合せて「人の顔」をつくることにする。その完成形を想像して写実的に描きなさい。』(27年度)

『「あなたにご用意頂いたおかげで,とても心地よく過ごしております。 これまで毎日忙しくしておりましたので,あまり気にかけていませんでした。 どうもありがとうございます。 その様子をお写真に撮りましたので,同封いたします。」この写真に写っている情景を,<描写条件>にしたがって写実的に描きなさい。』(26年度)

 

工繊大の実技試験では、上記のような鉛筆を使った図画課題が出題されています。変わった問題ですよね。与えられた題材を精巧に描くような、芸術大学の入試に見られる精巧な鉛筆デッサンとは少し異なります。

この試験には、明確な模範解答は存在しません。では何を基準に採点されるのでしょうか。採点者の視点に立って、何に気をつけて、何を意識して描けばよいかを考えることで、試験対策の方法が少し見えてきます。

この試験では、私は「与えられた問題に対して思考する能力」、そしてそれを「形にして、人にしっかりと伝える能力」のふたつが求められていると考えます。
もし私が採点者なら、「綺麗な絵」よりも「おもしろい発想の絵」が出てくることを期待します。これからデザインや建築を学んでいく中で、様々な問題を自分たちの考えで解決していくことになるのですから、平凡なアイデアよりも、「なるほどこういう考え方もあるのか!」と思えるようなものを描いてほしいと考えるわけです。
試験に臨む際には、「誰でも思いつきそうなことを避ける」ことは難しいので、例えばストーリー性のある絵であったり、捉え方によって解釈の変わる絵だったりする、「見る人の想像力を掻き立てる絵」にすることを意識するとよいと考えます。
過去問からもわかるように、この試験では予想もつかない問題が出題されることが多く、咄嗟の発想力が求められます。そして、思いついたアイデアを「何も見ないで描く」必要があります。圧倒的なアイデアを思いついても描けなければ意味がありません。

もちろん綺麗に描けるに越したことはありませんが、実際にどの程度の画力が求められるのでしょうか。それは今後デザインや建築を行うときのことを考えてみると少しだけ推察することができます。
建物を設計するときや、ものをデザインするとき、頭で考えたアイデアを形にして人に自分の考えを伝えるために「スケッチ」が必要です。そのスケッチは、決して美麗な絵が要求されるわけではありません。少なくとも、矛盾のない形状、立体感、素材感、用途などが過不足なく伝わる最低限の画力が必要になります。この試験でも同様の能力、あるいはその伸びしろがあるかが問われているのではないでしょうか。入試の時点で実力が完成している必要はありません。これから学んでいくうえで身につければいいのですから。

以上の観点から、私は絵の技術に関して、「見ないで描けるものをひたすら増やす」「空間を描く能力を鍛える」ことを最優先に、「思いついたことを過不足なく、矛盾のない形で、何も見ずに描く」ための練習を行いました。矛盾のない絵を描くためには、パースペクティブ(遠近法)の概念を学ぶとよいと思います。パースについては詳しく記述された本やwebサイトがたくさんありますのでそちらを参照してください。

絵の練習時間は人によってまちまちですが、自分には最低限の画力があると自信のある人は、勉強の合間の息抜き感覚に、全く何も描けないよ!という人はある程度まとまった時間をとって、描けるものを増やしていくとよいと思います。これも正解はないので、自分に合ったスタイルで頑張ってみてください。

また試験時間の150分は思ったよりもすぐに過ぎてしまいます。試験が近づいてきたら、実際に150分の時間内で過去問等に取り組み、自分に合った時間配分を掴んでおくと、当日も焦らずに取り組むことができるのでオススメです。

※最後にもう一度申し上げますがこの記事内容はあくまで筆者個人による経験と考察に過ぎません。ここに書かれていることは鵜呑みにせず、あくまで参考程度に捉えていただけますようお願い致します。

工繊大はデザインや建築を学ぶためのとてもよい環境が整っています。この記事を読んだ皆さんが工繊大でデザイナーや建築家の一歩を踏み出せることを祈っています。